20代から終活に取り組む人が増えてきました。家族に迷惑をかけないように、また自分自身の未来のために、終活への取り組み方が若い世代から変わってきています。
若いころから死ぬ時の準備をするのは抵抗があり、イメージできないかもしれません。しかし、20代から取り組む終活には様々なメリットがあります。
20代から終活に取り組むメリットや終活ですべきこと、気を付けるべきポイントを解説しますので、ぜひとも参考にしてください。
一般社団法人遺品整理士認定協会
認定遺品整理士(認定者番号 24283)
不用品回収業者にて1年半の現場業務を経験。その後、作業オペレーティングや不用品のリサイクル・貿易業務に従事し、年間500件以上の不用品回収案件に携わる。
2019年4月より、本メディアをはじめとする不用品回収・遺品整理記事の監修を務める。
まずは、20代から終活をするメリットをご紹介します。死ぬ準備について考えたことがない人も終活のメリットを知ることで考え方が変わるでしょう。
20代で死ぬ準備をすると将来の不安を解消できます。
突然の事故や病気はいつ私たちに訪れるか分かりません。今は健康だから大丈夫だと思っていても、急な不幸に見舞われる可能性があります。突然の不幸が襲ってきたとき、終活の準備をしていなければ、銀行口座や様々な契約情報を知る人はあなただけになってしまいます。インターネットサービスやサブスク契約も解約されずに支払い続けることになりかねません。
突然の不幸で、残された家族の不安を解消させることもメリットです。20代で終活の準備をしておけば、残された家族の負担はかなり軽減されます。大切な人の不安も解消させることができます。
20代で死ぬことを考えるといろいろな準備が必要であることが分かります。正しく終活の準備をしておくことで将来の不安は解消されるでしょう。
死ぬことが最終のゴールとするならば、そこに至るまでの時間が人生になります。20代で終活をすれば、人生設計の時間も長くなります。体が自由に動かなくなってからやりたかったことに後悔をするのではなく、計画を立てて行動に移せるようになります。
人生の目標があると普段の生活にハリが生まれるようになります。これまで何となく生活していた20代の若者たちが、終活を通して活き活きした人生に切り替わります。
20代で死ぬ準備をすることは、これからの人生と向き合うことになり、人生の目標を立てられるようになります。
20代で終活をすると、自分の価値観を見直すことができます。20代で自分の価値観を真正面から見直した経験はないかもしれません。趣味や趣向はあったとしても、死を意識すると価値観に触れることができるようになります。
都会で一生懸命に働いて人生を終えるのか、またはお金は無いけれど田舎でゆっくりと過ごすのか。結婚や子供についても「こうあるべきだ」というルールはありません。これからの不安定な社会に振り回されずに、真の自分の価値観に気付きが生まれます。
20代の終活には様々なメリットがあることが分かりました。では、終活では何から始めればいいでしょうか。これまで終活をしたことがない20代は、死ぬ準備をしたことがありません。
これまで死ぬ準備をしたことがない人へ、終活ですべき3つのことを解説します。
押し入れやクローゼットの奥にある普段は使わない物や着ない服は、思い切って断捨離します。断捨離で部屋がすっきりすると心にも余裕が生まれてきます。終活を考えて断捨離すると、次に物を買う際に「本当に必要か?」と考えるようになるため無駄な出費を防ぐこともできます。
断捨離は物だけではありません。不要な習慣や出費、人間関係も改めて考え直してみてください。終活を通して時間の大切さを実感できます。
20代のほとんどの人がインターネットサービスやSNSを利用しているでしょう。登録しているサービスの中には、すでに利用していないアカウントもあるのではないでしょうか。
放置されたアカウントは、犯罪に利用されるケースがあり個人情報を守る観点からも解約すべきです。どうしても残さなければならないデータは1か所にまとめて保存をしておき、利用していないSNSのアカウントはこれを機に整理しましょう。
現在利用しているサービスのユーザーIDとパスワードは、どこかで一括管理をしておくと便利です。パスワードを変更した際にも管理した情報を書き換えておくことで、何かあった時に困らなくなります。
20代で終活をすると、これからの人生でやりたいことが明確になります。悔しないためにも、死ぬまでにやりたいことに前向きに取り組めるよう将来設計を立てましょう。行きたい場所、やりたいスポーツ、身に着けたいスキルなど、優先順位を付けて書き出してみてください。
自分が亡くなったり身体が不自由になったりした時に、家族や友人に残すメッセージを書き記したものがエンディングノートです。エンディングノートには、自分以外の人にお願いをすべきことや知っておいて欲しい情報を書き記していきます。
エンディングノートに記入することを解説します。
医療では延命治療や臓器提供について書き残します。介護の場合は、施設に入りたいのかなど、どのような介護をして欲しいかを残します。
自分の意思を伝えることができなくなった時、エンディングノートに書かれている内容を尊重して家族で話し合います。エンディングノートがあるだけで、家族の負担はかなり軽減されます。
自分に何かあった時に連絡して欲しい人と連絡先を書き残します。エンディングノートに書かれていれば、連絡先を家族が調べる必要がなくなります。
銀行口座やカード情報をまとめておくのも大切です。もしオンラインで確認できる設定をされていない人は、早めに登録しておくと便利です。口座情報とパスワードがエンディングノートに書かれていれば、家族は銀行に行かなくてもパソコンやスマホで情報を取得できるようになります。
自分が契約している保険や携帯の情報をエンディングノートに記載します。保険は、どのような保険に入っているかと何かあたっ時の連絡先も一緒に書いておくと便利です。エンディングノートに文字で起こすと、契約の見直し材料にもなります。
20代で終活を意識する人が増えています。その理由はどこにあるのでしょうか。
楽天インサイトの調査によると、20代の終活への意向は増えていることが分かります。20代に「終活」をする意向はありますか?とアンケートを取った結果、2018年は31.0%だったのに対し、2019年は37.6%に増えていることが分かります。20代の3人に1人は終活をする意向を持っていることになります。
20代が終活する理由はどこにあるのでしょうか。
1つは、終活という言葉が社会的に広がっている点が挙げられます。20代はインターネットやSNSを通して情報を集めやすい環境にあり、20代の終活が徐々に広がっていることが分かります。
もう1つは働き方や生き方に選択肢が増えたことです。会社に入らなくても仕事ができるようになり、自分らしいライフスタイルを手に入れることができます。20代で死ぬことを考えることで、自分らしい生き方の選択肢を選ぶことに前向きになったことが考えられます。
20代で終活をする時に、気を付けるべきポイントを解説します。20代は独身で一人暮らしをしている人が多いため、家族が離れて暮らしているケースも必然的に多くなります。
終活を進めるにあたり、一人で考えすぎるのではなく、離れた家族にも共有しておくといいでしょう。
終活をしていることは家族や身近な人に伝えておきましょう。エンディングノートを書き記していても、エンディングノートの存在が知られなければ活用できなくなります。終活をしていることを家族に相談した際、「死のうと思っているのか」とかえって家族が心配になることもあります。終活をしていることを前向きに捉えてもらえるように説明することが大切です。
また20代の終活では、これからの長い人生設計を考えています。家族や友人に相談をすることで、考えている目標や目的が揺るがないものになるはずです。周りの意見を素直に取り入れることができるのは、20代のメリットになります。
エンディングノートの存在を伝える人は、信頼できる人に限ることも大切です。終活のために個人情報が多く書かれているノートなので、誰でも閲覧できるのはリスクが高いことも意識しましょう。
終活をする時には保険や各種サービスの見直しをかけます。また、これまで保険に入ってなかった人が医療保険に入る検討をすることもあります。終活をするまでは、20代で保険を見直すことはなかったかもしれません。終活を通して「意味のある保険」を検討できるようになります。
終活を意識しすぎて高額な保険に加入したり、詐欺に騙されないようにしなければなりません。保険や詐欺には十分注意するようにしましょう。
20代の終活では、死ぬことをイメージできていないことの方が多いでしょう。そのため、あまり考えすぎると答えが出ない思考をループしてしまう場合があります。保険はどうすればいいか、住む場所は変えた方がいいか、仕事を辞めようか、などこれまではあまり考えなかった課題が見えてくるようになります。
終活で悩んだ際に、一人で抱え込みすぎないようにしてください。家族や友人を頼って、自分らしい終活プランを立てるとよいでしょう。
20代の終活に関してよくある質問をまとめました。
身辺整理とは、自分の身の回りを整理することです。部屋のいらないものを片付ける、人間関係を見直す、保険や財産について整理する、などの作業をまとめて身辺整理と言います。
そのため身辺整理は終活の中の一部だと考えることができます。終活はこれに加えて、家族に迷惑がかからないように口座情報を書き留めたり、医療や介護の情報をエンディングノートに残しておくことになります。
終活を重く考えると、何から始めていいか分かりませんよね。20代の終活でまず最初に進めるべきは、これから自分がやりたいことを書き出すことです。書き出すときは気楽に考えましょう。やりたいことは、これからの人生設計につながり、ポジティブな感情で終活を考えるきっかけになります。
エンディングノートは市販されていますが、20代のエンディングノートは普通の大学ノートで問題ありません。大きすぎず、また他のノートと紛れないようにしておく必要があります。
なぜなら、エンディングノートには個人情報がたくさん書かれています。口座情報やカード情報など、周りに知られるべきものではありません。エンディングノートの存在は友人に相談してもいいですが、保管は厳重にしておくべきです。
20代の終活について解説してきましたがいかがだったでしょうか。20代で死ぬ準備を真剣に考えてみると、これまで考えなかったことに意識が向けられるのではないでしょうか。終活を知らなかった人はこの記事で興味を持っていただき、人生をより楽しく、目標あるものに変えていきましょう。