「遺品整理すると相続放棄できないの?」
こんな疑問を抱えていませんか?
遺産の相続で負債の方が多く、相続放棄を検討している方は少なくありません。
遺品整理をする前にで相続放棄を決めている方は、どこまで進めて良いかわからず悩みますよね。
そこで、この記事では相続放棄とはどのようなものか、遺品整理を進めて問題ないかご紹介します。
相続トラブルを防ぐために知っておきたい知識も解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
一般社団法人遺品整理士認定協会
認定遺品整理士
不用品回収業者にて1年半の現場業務を経験。その後、作業オペレーティングや不用品のリサイクル・貿易業務に従事し、年間500件以上の不用品回収案件に携わる。
2019年4月より、本メディアをはじめとする不用品回収・遺品整理記事の監修を務める。
まずは、相続放棄について確認していきましょう。
相続放棄とは財産の相続を拒否することです。
親や親族が亡くなると遺産相続をしますが、遺産の中には住宅や現金といった資産だけでなくローンや借金も含まれます。
資産と負債を相殺して、マイナス資産が大きければと借金を負うことになります。
家族に借金を隠していて、亡くなってから発見される場合も多いです。
兄弟や家族など相続人が複数いる時に一人だけ相続放棄し、他の相続人で財産を分配しても問題ありません。
遺品整理は遺産相続と関わりのある作業なので、相続放棄を検討している方が勝手に進めてはいけません。
一般的に、遺品整理は相続人がするものとされています。
財産を相続するか決める前に遺品整理をすると、相続トラブルに発展する可能性があります。
ただし、なかには遺品整理が認められる場合もあるので、後述しているセクションを合わせてご確認ください。
相続放棄をして形見分けはできるのか疑問をお持ちの方もいるでしょう。
故人との思い出の写真や手紙、お気に入りの品物など資産価値がないものは、形見分けしても問題ありません。
しかし、骨董品や貴金属、高級家財、宝飾品といった価値のある品物は相続人同士で協議した上で、分配する必要があります。
少しでも資産的価値のある遺品を受け取ると相続の承認に該当するので、相続放棄できなくなります。
資産価値を判断するのが難しい場合もあるので、相続放棄すると決断している方は遺品整理をしないほうが無難です。
財産を相続する方法は3つあります。
亡くなられた方の財産状況に合わせて選択すると良いでしょう。
どの方法を選ぶにしても、相続の開始日から3ヶ月以内に決断しなければいけません。
単純承認は故人の全ての財産を受け継ぐ相続方法で、特別な手続きは必要ありません。
故人が亡くなられた日から3ヶ月経過すると、財産の権利義務を承認したものとされます。
住宅ローンやカードローンといったマイナスの財産が多ければ、借金を背負うことになるので気をつけましょう。
相続放棄は相続の権利を放棄することです。
借金を背負うことになるような債務超過の際や、特定の相続人に資産を集中させるときに選択する場合が多いです。
相続放棄する際は3ヶ月以内に故人の住所地にある家庭裁判所へ行き、申述を行わなければいけません。
一度認められると、相続権を撤回できないので気をつけましょう。
限定承認とは相続にマイナスの財産がある方向けの相続方法です。
相続に含まれるマイナスの財産の金額分の債務を負担する代わりに、相続財産を超える負債の返済義務はなくなります。
預貯金や株などプラスの財産が残れば相続として引き継ぐことができます。
故人の借金がどの程度かわからない場合や、財産を残しておきたい方向けの相続方法です。
限定承認の手続きは相続放棄と同じで、家庭裁判所にて申述をする必要があります。
一般的に相続を放棄すると遺品整理はできませんが、例外として遺品整理が必要となる場合があります。
以下の3つに該当しているときは遺品を整理してください。
孤独死で亡くなっていた場合は、遺品整理をする必要があります。
一人暮らしで息を引き取り、発見が遅れると痛いの腐敗や害虫の発生が考えられるので、遺品整理だけでは対応できません。
特殊清掃業者に除菌・消臭、害虫駆除を依頼しなければいけないケースも多いです。
死因や状況によっては例外もあるので、頭に入れておきましょう。
相続放棄しても財産の管理義務がある場合もあります。
民放940条で「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」と規定されています。
ですから、故人が賃貸住宅や土地を保有していた時は、相続を放棄しても管理義務が残ります。
財産の管理義務を放棄するには、家庭裁判所で相続管理人を選任してもらわなければいけません。
しかし、申し立てるには管理業務の資金として数十万円程度を家庭裁判所に納付する必要があるので注意しましょう。
賃貸借契約の連帯保証人となっている方は、賃貸物件の原状回復の義務が伴います。
故人の連帯保証人であれば賃貸契約の解約手続きを進められますが、相続放棄すると賃貸解約できなくなります。
そのため、賃貸物件を解約するときの原状回復と修繕費用を負担することになります。
つまり相続放棄ができず遺品整理をしなければいけません。
遺品整理で相続トラブルに発展しないために、知っておくべきポイントを2つご紹介します。
借金のことを家族に隠していて、亡くなって初めて発覚するケースもあります。
相続放棄をできないといったトラブルを防ぐために、確認しておきましょう。
借金を抱えていたことがわかっている場合は、勝手に判断して遺品整理をしない方が賢明です。
相続放棄をする方が故人の所有物を勝手に処分すると、罰則の対象となります。
法律に従って遺品整理を進めなければ、相続の手続きが複雑になります。
そのため、相続トラブルを避けるためにも相続が完了するまで、勝手な判断で遺品整理をしないことを徹底しましょう。
遺品整理は何度も経験することではないので、どのように進めて良いかわからない方も多いでしょう。
トラブルを未然に防ぐために、遺品整理の専門業者に依頼する方法があります。
遺品整理士が在籍している遺品整理業者なら専門家の意見を参考に、遺品整理を進められます。
弁護士や行政機関の紹介といったサポートを行っている業者に依頼すれば、どのような状況でも対応してもらえて安心です。
遺品整理と相続放棄についてご紹介しました。
相続放棄を検討している方は、遺品整理をしないほうが賢明です。
相続放棄を決めている方は相続が開始された日より3ヶ月以内に申述し、手続きを進めましょう。
相続トラブルに巻き込まれないためにも、ご自分の判断で遺品整理をするのは避けてください。
遺品整理に関するお悩みがあれば、遺品整理業者に相談してみましょう。