本記事では遺品整理と保険の関係について詳しく解説します。場合によっては、遺品整理には保険が適用されます。
保険が適用できれば、業者に依頼する際の費用を保険金で賄うことが可能です。遺品整理は業者に依頼すると高額になるので、保険が適用できる場合とできない場合では、大きな差があります。
ただし保険の条件などをしっかりと理解していなければ、保険金は支払われませんし、故人が該当の保険に加入していなかった場合ももちろん、保険金が支払われることはありません。
しっかりと本記事の内容を理解していただき、遺品整理をする前に保険が適用できるか確かめておきましょう。
一般社団法人遺品整理士認定協会
認定遺品整理士(認定者番号 24283)
不用品回収業者にて1年半の現場業務を経験。その後、作業オペレーティングや不用品のリサイクル・貿易業務に従事し、年間500件以上の不用品回収案件に携わる。
2019年4月より、本メディアをはじめとする不用品回収・遺品整理記事の監修を務める。
冒頭では遺品整理には保険が適用できると紹介しましたが、実は多くの場合では遺品整理自体が保険の適用になることはありません。保険が適用されるのは、特殊清掃であることがほとんどです。
遺品整理が付随した特殊清掃を依頼する場合は、保険の適用になる可能性はありますが、特殊清掃が必要なく遺品整理のみを依頼する場合は、保険の適用にはなりません。
もちろん保険によっては、遺品整理の費用をまかなってくれるものがありますが、数は非常に少ないです。故人の加入していた保険が、遺品整理自体を保険の適用としているのか、孤独死をして特殊清掃が必要な場合にだけ適用されるのかをしっかりと確認しておきましょう。
遺品整理が保険になるケースは主に以下の5つです。
それぞれのケースを詳しく解説していきますね。
少額短期保険とは、名称通り少額の掛け金で短い期間加入する保険のことです。そんな少額短期保険の中には、遺品整理の費用に対応しているものがあります。
例えば賃貸を契約するうえで、火災や落雷などのトラブルに対処する保険は対応していることが多いです。故人が賃貸に住んでいた場合は、こういった少額短期保険に加入していたかどうか確認してみましょう。
基本的には賃貸契約時に加入するので、大家さんに聞くとすぐに確認できますよ。
孤独死保険に加入している場合は特殊清掃の費用をカバーできます。孤独死保険は主に以下の2種類があります。
家主型は家主や管理会社が加入するもので、入居者が孤独死した際にできる家賃の損失をカバーでき、原状回復費用なども補償の対象になります。入居者型は、名称通り入居者が加入するものです。
基本的には前述した少額短期保険に分類され、火災や落雷などのトラブルにも対応しています。孤独死保険という名称なので、特殊清掃の費用は賄えても、遺品整理時の不用品の処分などにかかる費用が賄えるかは、商品によるのでしっかりとチェックしておきましょう。
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火災保険も、前述の少額短期保険と同じように特殊清掃の費用を賄える場合があります。少額短期保険は賃貸契約時に加入することが多いですが、火災保険は個人で加入することがあるのが特徴です。
そのため、大家さんに少額短期保険に保険に入っていなかったといわれても、故人が賃貸契約とは別に火災保険に加入していた場合は、火災保険の保険金から、特殊清掃などの費用を賄えます。
生命保険は、他の保険とは少し勝手が違いますが、保険金で遺品整理の費用を賄えるといえるでしょう。生命保険は加入者が死亡時に、保険金が支払われます。
お葬式の費用などに充てることが多いですが、もちろんこの保険金は遺品整理に使っても問題はありません。「他の保険には加入していないけど生命保険だけは加入していた」というケースは非常に多いです。
もちろん故人が亡くなった際は、お葬式の費用以外にもお墓の費用、引越し費用などかかってくるので、保険金が足りない場合は遺品整理は特殊清掃に充てることはできません。
遺品整理にピンポイントで対応しているわけではないので注意しましょう。
特約は加算保険料が500円ほどで、30万円程度の保険金が支払われることが多いです。ただし遺品整理に関する特約は特殊清掃には対応していません。
特殊清掃で多額の費用が必要になったとしても、対応しているのは遺品整理の費用だけなので注意しましょう。
孤独死保険は孤独死で部屋の原状回復が必要になったときに、損失を補償する保険です。保険期間が1,2年以内と短く、掛金が少額のものが多いです。
保険会社の商品によって遺品整理や特殊清掃の費用が保険金で下りるものもあります。孤独死は発見が遅れると虫が発生したり、臭いがついてしまったりするため特殊清掃が必要になります。
入居者に保証人がいなかったり、遺品整理の支払い能力がない場合、孤独死保険への加入を勧められるケースもあるそうです。孤独死保険には2つの種類があります。
家主型の孤独死保険は管理会社や部屋の管理者が加入する保険です。入居者が亡くなったときに必要となる現状復帰や遺品整理の費用に保険金が支払われます。
加入条件や商品によって金額は変動しますが、家賃補償費用として30万円程度の金額を支払われます。
入居者型の孤独死保険は、入居者が加入する保険で災害や死亡事故でも保険が適用されます。入居者型は大家さんが保険料を負担する必要がありません。
しかし、家賃での損失が補償内容に含まれていないので、家賃の減額や空室期間の損失はご自身で負担しなければいけません。入居者の相続人がいなければ、保険金を受け取れないので注意が必要です。
不動産オーナーで入居者型の孤独死保険を検討されている方は、大家さんが保険金を請求できるかを確認しておきましょう。
最後に遺品整理の保険に関するよくある質問を紹介します。
それぞれ答えていきますね。
今後自分にもしものことがあったとき、家族が苦労しないように保険に加入するか悩んでいる方は多いかと思います。結論から言えば、自分で遺品整理の費用を賄えるだけの貯金があるなら、保険に加入する必要はありません。
貯金がない場合は加入しておいた方が安心です。保険というものは、基本的には保険会社が得をするようにできています。そのため、保険に加入をしたとしても、結局は保険会社に支払う額の方が高くなります。
保険とは名称通り、もしもの時の保険のために加入するものなので、貯金がたくさんあれば保険は必要ありません。反対に貯金がない場合は、もしもの時にお金が足りなくなって困ってしまうので、加入をしておくと良いですよ。
自分が加入している保険が遺品整理に対応できるのか知りたい場合は、現在加入している保険会社に問い合わせましょう。故人が加入の保険が遺品整理に対応しているか知りたい場合は、最初に大家さんに連絡をすると良いですよ。
また、故人が所持していたエンディングノートなども確認すると、しっかりと保険についての記述がされているかもしれません。
遺品整理を保険金無しで支払う場合の相場は以下の通りです。
間取り | 料金相場 |
1R・1K | 30,000円~100,000円 |
1DK・1LDK | 50,000円~150,000円 |
2DK・2LDK | 80,000円~200,000円 |
3DK・3LDK | 150,000円~300,000円 |
4LDK~ | 280,000円~ |
遺品整理は間取りによって料金が決まることが多いです。ただし遺品の量や回収品の量、買取できるものの量などによって、大きく変化します。
そのため、場合によっては1Rの部屋でも10万円以上になることも。反対に買取品などが多ければ、1万円以下に抑えられることも少なくありません。遺品整理業者は無料で見積もりをしている場合が多いので、料金が気になる場合は気軽に見積もりを依頼してみましょう。
ただし見積もり後にキャンセルをすると、見積もり料金が発生してしまう業者も中にはあるので、依頼の際には手数料をしっかりと確認してくださいね。
関連記事:遺品整理の相場はいくら?
遺品整理には場合によっては保険が適用できます。ただし多くの場合が、孤独死で特殊清掃が必要な時にのみ保険金が支払われます。
故人が遺品整理に関する保険に加入していなかった場合は、生命保険の保険金を使って費用を賄うのも一つの手ですよ。