最近は終活という言葉が広まり、生前整理をする人が増えてきました。
終活とは自分らしい人生の終わりを迎えるための準備をすることです。
生前整理と聞くと年を重ね、死を意識する時にするものではないかと考える方もいるでしょう。
しかし、今では40代から生前整理を始める方もいます。
今回は生前整理の正しい基礎知識からやり方・注意点まで徹底的に解説します。
この記事を読んでぜひ生前整理を進めてみましょう。
一般社団法人遺品整理士認定協会
認定遺品整理士
不用品回収業者にて1年半の現場業務を経験。その後、作業オペレーティングや不用品のリサイクル・貿易業務に従事し、年間500件以上の不用品回収案件に携わる。
2019年4月より、本メディアをはじめとする不用品回収・遺品整理記事の監修を務める。
小西紗代さん
風水を取り入れた開運収納を専門に、テレビ・ラジオ・雑誌や新聞への執筆・書籍などで活動。整理収納アドバイザー1級・生前整理アドバイザー準1級認定指導員、風水鑑定士の資格を保有。著書 「片付けのことを考えただけで疲れてしまうあなたへ」(学研)ほか。
◆公式サイト:https://fino-life.com/
生前整理とは前もって自分の持ち物や財産を整理しておくことです。
あらかじめ生前整理をすると自分が他界したときに、ご家族の方が相続や遺品の整理に悩むことがなくなります。
また、相続や遺産に関して自分の意思を反映できる利点もあります。
生前整理をしておくことであなたが急な事故や入院に見舞われても、ご家族や身の回りの人が困らずに済むでしょう。
生前整理以外にも終活には、身辺整理や遺品整理が含まれています。
2つの活動と生前整理の違いをご存知ですか?
それぞれ取り掛かる時期が違うので、目的や作業内容も異なります。
以下の表を参考にしてくださいね。
項目 | 生前整理 | 身辺整理 | 遺品整理 |
---|---|---|---|
始める時期 | 健康なとき | 自分の好きなタイミング | 身近な人が亡くなった後 |
実行する人 | 本人や家族 | 本人 | 家族や親戚 |
すること | 物の処分・遺言書の作成 | 物の片付け・処分 | 物の処分・相続の手続き |
生前整理や老前整理ですることには違いはありませんが、行う年齢が異なります。
生前整理は年齢問わず行うものに対して、老前整理は高齢になってから物を整理することを指します。
15歳以上は有効な遺言を残すことができるので、若いうちから生前整理をする方も増えてきました。
また老前整理は体力的に一人で進めるのが難しいですが、生前整理は急ぎではないのでじっくり一人で作業を進めることも可能です。
生前整理がどのようなものか分かりましたね。続いて亡くなる前にやっておきたい手続きをご紹介します。お金や相続に関することから葬儀やお墓に関することまであるので、詳しく見ていきましょう。
亡くなることを前提に進めるのはどうかと考えられる方もいるかもしれませんが、亡くなった後だと大変な手続きもあります。ですから、ぜひ確認してください。
家族が亡くなると葬儀や入院費でお金がかかります。しかし、本人が亡くなってしまうと銀行口座が凍結されるので、口座のお金や預金が下ろせなくなります。
いざというときのために預金は引き出しておくと安心です。口座が凍結されるのは銀行が名義人の死亡を確認した時点なので、亡くなった直後はお金を引き出せることもあります。
亡くなった親族の口座からお金を引き出しても罪には問われませんが、他の相続人とのトラブルに発展することもあるので気をつけましょう。
財産分与で最も効力を発揮するのは、遺言書に書かれている内容です。身近な人の希望にそって財産を分けるために、必ず作成しておくべきものです。一般的な家庭でも実際に相続争いは多数起こっているので、用意しておくとよいでしょう。
遺言書は適当に作成すると書類不備で無効になることがあります。正式な遺言書を作成するには、2人の証人の立ち会いや家庭裁判所の検認が必要となっています。
遺言者が直筆で作成する方法もありますが偽造や紛失、書類不備のリスクもあるのでどの方法で作成するかよく考えて作成すると良いです。
遺影とは葬儀の時に飾られる写真を指します。家族の風習によっては葬儀後も、床の間に飾られることがあります。亡くなった後にピントがあっていない写真や、ブレている写真しか見つからないという可能性もあります。
あらかじめ時間があるときに写真をとっておくとその人らしい写真を使用することができます。近年では画像加工会社が写真を預かってくれるサービスもあります。
葬儀場とお墓は本人の希望を聞いてから検討しましょう。
前もって話し合っておくと、本人の希望を反映し費用を抑えることができます。
生前整理とはどのようなものか分かりましたね。
次に、生前整理を始めるべき理由3選を見ていきましょう。
生前整理をするとご自分の持っている財産を把握することができます。
また、遺言書を作成することで財産をどのように分配するか自分の意思を反映させられます。
現金・預貯金・債券など保有している財産を書類にまとめれば、万が一何かあったときにも安心です。
高齢になってから財産調査を進めるのは、意外と手間がかかるのでこまめにまとめておきましょう。
生前整理は、相続に関するトラブルを防止することも可能です。
まとまった財産があると家族・親族間で相続トラブルに発展するケースは少なくありません。
ご自分の意思を示せるものがないと、話し合いで決められず家庭裁判所に依頼しなければいけなくなります。
遺言状を残しておくことで相続に関する手続きもスムーズに進められます。
生前整理には家族や親族たちの負担を軽減する目的もあります。
まだ使える家具や雑貨であっても、全てを受け取ることは難しいので大半は処分しなければいけません。
身の回りの物の整理をしておかないと、精神的にも肉体的にも負荷をかけてしまいます。
思い入れのある遺品を整理するのは、辛い作業なのでご自分で少しでも物を減らしておくと負担を減らせるでしょう。
生前整理のやり方や手順を解説します。
生前整理で仕分けるものは衣類や使っているものだけでなく、債券や土地といった権利も含まれます。
ご自分のやりやすい方法で進めるのが理想的ですが、何から始めていいかわからない方はぜひ参考にしてくださいね。
まず物の整理から始めます。
自分にとって必要なものと、いらないものを見極める大事な作業です。
これから使うかもしれないと考えてとっておく物は、使わずにしまわれたままになることが多いので、悩んだら本当に必要なのか自答しましょう。
1つずつ検討していると膨大な時間がかかるので、ルールを決めておくと効率的です。
例えば定期的に使用するものや、アルバムや写真など手放して後悔しかねないものは必要なものへ、1年以上使っていないものや壊れているものはいらないものとして処分するなどです。
捨てた後に取り戻すことが難しい思い出の品やコレクションは、よく考えてから整理しましょう。
次に財産を整理します。
財産の中には資産ではない借金や税金といった負債も含まれます。
負債も相続の対象になるので、隠さずまとめて管理しておきましょう。
財産目録を作成しておくと財産分与を検討しやすく、相続人も遺産分割に困ることが少なくなります。
財産整理が終わったら遺言書を書きましょう。
遺言書の作成はいくつか方法があり、決められた書式で書かなければ、無効になる可能性もあります。
財産が多ければ無効になると争いが起こりかねないので、公正証書遺言を選ぶと安心です。
遺言書の作成が終わったら、エンディングノートを書きます。
エンディングノートとは訃報を知らせてほしい人や、臓器提供の意思表示、葬儀の進め方といった亡くなった後の希望を残すための書類です。
遺言書とは異なり法的効力はありませんが、形式を気にせず自由に作成することができます。
自分の本心を書き留めておくことで、自分の気持ちや考えをそのまま伝えることが可能です。
こちらの記事では年代別にエンディングノートの書き方をご紹介しているので、併せてご確認ください。
今回は、生前整理とはどのようなものかといったことから具体的な進め方をご紹介しました。
生前整理は何歳から始めるといった明確な決まりはないので、時間があるときにゆっくり作業を進めてみてはいかがでしょうか。
一人で作業を進めるのが難しい場合は、業者や知り合いに手伝ってもらうと良いでしょう。