「過去帳ってどうやって処分するの?」「お焚き上げは必要なの?」
このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?結論から言えば、過去帳はお焚き上げをして処分することが多いです。
また、面倒なら可燃ごみで捨てても法的には問題はありません。ただし過去帳は先祖の情報を記録するものなので基本的には処分することはおすすめしません。
何となくで処分をしてしまうと、時が経ってから過去帳が重要なものであることに気付いて、大きく後悔することになりかねません。本記事では、そんな過去帳の処分について詳しく解説していきます。
これから処分しようか悩んでいる方は、ぜひとも最後までご覧になってから処分をするべきなのか決めてくださいね。
一般社団法人遺品整理士認定協会
認定遺品整理士(認定者番号 24283)
不用品回収業者にて1年半の現場業務を経験。その後、作業オペレーティングや不用品のリサイクル・貿易業務に従事し、年間500件以上の不用品回収案件に携わる。
2019年4月より、本メディアをはじめとする不用品回収・遺品整理記事の監修を務める。
そもそもとして、過去帳とはどういったものなのか知らない方も多いかと思いますので、まずは過去帳について詳しく解説していきます。過去帳とは一言で言えば「先祖の情報を記録するもの」です。
過去帳には亡くなった年月日や戒名が書かれており、供養の際に開いて使用することが多いです。位牌にも亡くなった年月日や戒名が書かれていますが、魂が宿っている点と、先祖の記録がされていない点が大きな違いとなっています。
位牌には魂が宿っているとされていますが、過去帳には魂が宿っているという考え方はありません。また位牌は三十三回忌などを区切りとして、魂抜きをして過去帳にまとめることが多いです。
このような経緯で過去帳に情報が記録されていくため、家系図としての意味合いも強く、先祖の情報が記録された非常に貴重なものと言えます。
参考:Wikipedia
前述した内容からも分かる通り、過去帳は先祖の家系図が分かる非常に貴重なものでもあります。そのため、基本的には処分はおすすめしません。
ここからはそんな過去帳の処分をおすすめしない理由を詳しく解説していきます。
それぞれ見ていきましょう。
処分をおすすめしない最も大きな理由が「今までの記録がなくなってしまう」という点です。過去帳は先祖の情報をこれまで記録してきた、かけがえのないものです。
もし処分をしてしまうと、自分の先祖がこれまでどのように繋がってきたのかを知るすべがなくなってしまいます。
また今までの先祖の記録がされているということは、その過去帳は自分の家系まで繋げてくれたものでもあり、処分してしまうとその想いを断ち切ってしまうことになります。先祖の気持ちを汲み取る意味でも、処分はしないでおきましょう。
人によっては過去帳が作られたばかりで、先祖の情報が記録されていない方もいるかと思います。その場合は「今さら記録する必要もないか」と思ってしまうかもしれませんが、今後の生まれてくる子孫・後裔が必要とするかもしれません。
もし仮に今後あなたの家系が500年以上続くとしたら、500年後の子孫には非常に貴重なものになっていることは間違いありません。
そのため、たとえ現時点で先祖の情報がない場合でも、処分せずにこれから繋いでいくことを考えましょう。
大前提として、過去帳はわざわざ処分するメリットが少ないです。過去帳は仏壇のように場所をとるわけではないので、処分する必要性は基本的にはありません。
仏壇は処分したとしても、過去帳だけは押し入れなどに保管しておけば問題ありません。今一度、処分するべきなのか、どうしても処分しなければいけないのか考え直してみてください。
これまで過去帳の処分はおすすめしないことを紹介しましたが「どうしても処分したい」「断捨離をして家をスッキリさせたい」と考えている方もいるでしょう。そこでここからは過去帳の処分の仕方を紹介します。
お焚き上げをして処分する方法と、燃えるごみとして捨てる方法の2つを紹介します。
最も一般的なのが供養後にお焚き上げをする方法です。過去帳を処分するということは、多くの場合で、仏壇も一緒に処分する方が多いかと思います。
仏壇は供養をしてお焚き上げをしますが、その際に過去帳が不要な場合は一緒に処分します。もしすでに仏壇は処分済みで、過去帳だけが残っている場合でも、供養をしてお焚き上げをするのが一般的です。
お焚き上げ供養の費用相場としては、仏壇と一緒にお焚き上げをする場合は20,000円ほど、過去帳だけの場合は1,000円程度となります。もちろんお寺や菩提寺によって変化するので、確認してみましょう。
一般的な方法ではありませんが、過去帳は燃えるごみとして捨てても法的には問題ありません。お焚き上げしてもらうのも手間だと思うのであれば、そのまま燃えるごみとして処分しましょう。
仏壇仏具に関するものは、宗教的な要素があるため、自分だけの判断で捨ててしまうと、家族・親戚から反対意見を貰うことも少なくありません。家族と相談してから捨てるべきなのか、お焚き上げをするべきなのか決めましょう。
最後に過去帳の処分に関するよくある質問を紹介していきます。
気になる項目があれば確認していただければと思います。
過去帳などの故人に関するものは、お焚き上げなどをせずに自分で捨てるとバチが当たらないか、祟りが起きないか心配になる方も多いかと思います。結論から言えば、お焚き上げをしなくても問題ないと言って良いでしょう。
例えば、位牌や、故人が大事にしていた人形などは「魂が宿る」とされているので、魂抜きをしたり、お焚き上げをしたりして供養する必要があります。ですが、過去帳に関しては「魂が宿る」という考えはありません。
前述したように先祖の家系図という意味合いの方が強いので、お焚き上げをしなくてもバチは当たらないと考えて良いです。
過去帳を処分することによるデメリットは以下の通りです。
たとえこれまでの家系図や、これからの家系図に興味がなかったとしても、家族や親戚とトラブルになる可能性は否めません。
これまで紹介したように、過去帳は処分するメリットよりも、デメリットの方が断然大きいので、家族や親戚ともよく相談して処分しましょう。
仏壇などは過去帳と一緒に処分するのが一般的です。仏壇や位牌など、仏壇仏具に関するものを処分する場合は、まとめて魂抜き・供養・お焚き上げをします。
仏壇や位牌は処分しても、過去帳だけは処分しないのが一般的ではありますが、もし不要ということであれば、そのまま一緒に処分してもらいましょう。
もし仏壇だけを処分して、過去帳だけを保管する場合は、過去帳以外のものをお焚き上げ供養してもらいます。仏壇がある場合は、仏壇の引き出しに保管するのが一般的ですが、仏壇を処分した場合の過去帳の保管方法は特に決まっていません。
そのため、好きなように保管して問題ありません。ただし湿気の多い場所だと状態が悪くなるので注意してください。
過去帳は宗派によって処分方法にわずかな違いはあります。ただしどの宗派であっても「魂が宿る」という考えはないため、魂抜きなどは必要ありません。
厳密に言えば浄土真宗は、過去帳は「魂の宿っていない位牌」という考え方なので供養をするのが一般的です。他の宗派だと記録帳という意味合いの方が強いので、供養はしなくても問題ないという考え方となっています。
ただし結局どの宗派でも、所有者の気持ちの方が優先されるので、供養をしたいのであれば供養をお願いすれば良いですし、供養が必要ないなら自分で処分しても問題はありません。
過去帳の書き損じをしてしまった場合は、基本的には処分をして新しく買い直す必要があります。そのため、過去帳の書き直しはできないと考えておきましょう。
場合によっては書き損じた部分に同じ種類の紙を張り付けて修正することもありますが、今後も永劫残っていくことを考えると新しく買って書き直した方が良いです。
過去帳の処分方法は、供養してお焚き上げをするのが一般的です。ただし過去帳自体が非常に貴重なものなので、処分することはおすすめしません。
どうしても処分するのであれば、家族や親戚にも一声かけておくと、トラブルにならずに済みますよ。